岩窟の老翁に促され刻んだ毘沙門天
どんな伝承か
香川県善通寺市弘田町の医王山甲山寺は、四国霊場の第七十四番札所で、弘法大師が開いた寺である。大師がこの地を通りかかったとき、山の中の岩屋から神々しい老人が現れ、ここに堂塔を建てるよう勧めた。これを聞いた大師は大いに喜んで毘沙門天の石像を刻み、岩屋に安置したという。寺の裏手の甲山は兜のような形をした小さな山で、境内の案内図には、室町時代に天霧城の出城があったと言われることや、江戸の末に開かれた西国三十三札所があることが記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。