飯能の墓場に出たという人魂
どんな伝承か
平山蘆江が昭和十一年に飯能の山のふもとに移り住んだころ、近くの墓場に人魂が出たという話が伝わっていた。見た者は一人ではなかったという。蘆江も見てみたいと思い、わざわざ墓場を巡ってみたが、とうとう目にすることはできなかった。その後はそうした話をぱったり聞かなくなり、怪談会も、雑誌から夏ごとに頼まれた怪談の原稿も、昭和十二年ごろを最後に途絶えたと蘆江は振り返っている。
原典より
昭和十一年に、飯能の山のふもとへこもるようになった時は、それでも、墓場に人魂が出たという話を聞いた。—— 私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。