原釜のはまち丸を救った日蓮のお告げ
どんな伝承か
雪の降る十二月の朝、六人の船頭を乗せた「はまち丸」が原釜から沖へ出た。磯部の沖あたりで急にシケに遭い、吹雪で一寸先も見えなくなって、船は南へ押し流され、四日のあいだ行方不明になった。船方の母親たちは日蓮を拝み、なかでも信心深い母親には仏が乗り移って散らし髪となり、あした帰って来るから心配するなと告げた。みなで団扇太鼓を打って一心に拝んでいると、四日荒れた海は凪ぎ、沖から裸で汗まみれの船方たちが櫓を漕いで戻ってきた。以来、毎月十二日に日蓮へ礼詣りをするようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。