原釜のはまち丸を救った日蓮のお告げ
どんな伝承か
雪の降る十二月の朝、六人の船頭を乗せた「はまち丸」が原釜から沖へ出た。磯部の沖あたりで急にシケに遭い、吹雪で一寸先も見えなくなって、船は南へ押し流され、四日のあいだ行方不明になった。船方の母親たちは日蓮を拝み、なかでも信心深い母親には仏が乗り移って散らし髪となり、あした帰って来るから心配するなと告げた。みなで団扇太鼓を打って一心に拝んでいると、四日荒れた海は凪ぎ、沖から裸で汗まみれの船方たちが櫓を漕いで戻ってきた。以来、毎月十二日に日蓮へ礼詣りをするようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。