盆の十三日に柄長を求める海坊主
どんな伝承か
静岡県榛原郡御前崎町(現御前崎市)に伝わる話。お盆の十三日の夕方遅くまで漁をすると凶事があるといわれる。昔、釣りに夢中になり日が暮れてしまった漁師たちの前に、海中から髪を振り乱した大きな海坊主が現れた。度胸のある船頭が皆に漕げと命じ、磯の灯を目指して逃げると、海坊主は「柄杓を貸せ」と泳いで追ってきたが、底を打ち抜いた柄杓を投げ与えると姿を消した。これは語り手の祖母の祖父が若い頃にあった実話だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。