雨の海辺で米兵が乗せた少女
どんな伝承か
沖縄県中頭郡での話。米兵が名護で酒を飲んだ帰り、駐屯基地の宿舎へ帰ろうとタクシーに乗った。暗い道を走るうち雨が降りだし、海辺の近くにさしかかると、しょぼ降る雨の中からずぶ濡れの十七、八の少女が傘をさして手を上げた。米兵が後部シートに乗せてやったが、酔いと疲れでそのうち眠り込んでしまう。気がついて少女に話しかけようとすると、隣に乗ったはずの少女がいない。ただ座席がびっしょり濡れているばかりだった。運転手はあわてもせず「こっちはよくその幽霊が出る」と言った。ある米兵が待っていた少女を犯し、少女はショックで海に身を投げたといい、それ以来、雨のしょぼ降る夜に出るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。