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人力車を後押しする車夫の亡妻

所在地東京都江東区木場(深川不動堂)
年代現代
登場田辺貞之助、体験者・筆者
出典現代民話考 ― 偽汽車

どんな伝承か

深川の不動様の裏手から木場の北を抜け、斜めに東北へ向かう道がある。五、六歳のころ、語り手は父に連れられて不動様へ参ったが、父が酒を過ごし雨も落ちてきたので人力車で帰った。家に着いて代金を渡すとき、父は、これはおかみさんの分だと言って余分に払った。すると車夫が悲しげに、また出ましたか、と応じた。近ごろ幼い子を残して妻を亡くしたが、その妻が雨の晩には必ず現れて車を後ろから押すのだという。父は、暗くて姿は見えなかったが、車夫の足音とは別に小刻みな軽い足音を聞いたと母に語った。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))

『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。

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