縦書きのまま残された五戸駅の駅名
どんな伝承か
明治の中頃、鉄道が東北地方にも走るようになった。その時の駅名の表示は、すべて縦書きであったそうだ。それが小川平吉という鉄道大臣の時に、駅名の縦書きが横書きへ改正されたが、ただ一カ所だけ縦書きのまま残された駅名があった。それが青森県三戸郡の五戸駅である。横書きにすれば「ごのへ」となり、反対に右から読むと「へのご」となるからであった。「へのご」とはこの地方で男のものをいう言葉であり、それではまずいというわけである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。