六部を殺した家に燃える怪火
どんな伝承か
糠部の郡のアサミズ、すなわち今の浅水の里には、泊めた旅人が夜のうちに殺されて朝を見なかったという話が伝わる。その類話として、山奥の五六軒の村では旅人を泊めては殺し、持物や金を分け合うのを習いとしていた。ある夏、旅の六部が泊まると、仕掛けのある寝床から櫃へ落とされ、蓋の上に大石や臼を積み重ねられた。六部は七日七夜叫び泣き、板に体を打ちつけて暴れ、村人は代わる代わる立ち聞きしては剛情な六部だと言い合った。こうした家には後世まで罪障が残ったという。別の大屋では風呂で蒸し殺した六部を土間に埋め、以来夜ごと怪火が燃え、代々の主人が発狂したと語られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。