路傍の怪ヒトツマナグ
どんな伝承か
『日本の俗信 1』の妖怪資料の章は、柳田國男が長年書き留めた資料カードや「妖怪名彙」に依拠し、各地に伝わる怪異の名を出現する場所によって分類して並べたものである。その「(二)路傍の怪」の項に、青森県五戸地方の怪としてヒトツマナグの名が挙がる。すぐ隣にはクビキリウマ(青森市)やヒトツメコゾウ(奈良県吉野地方)が並んでおり、一つ目の怪を指す呼び名が地方ごとに違う形で伝わっていたことがわかる。原典が記すのは名称と分布地だけで、姿や由来の説明は付されていない。
原典より
ヒトツメコゾウ 奈良縣吉野地方ミカリバアサマ 長崎縣諫早地方アマザケベベ 壹岐島ウグメ 茨城縣ウブメ 佐渡—— 日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。