嫁が聞いた悪いカラス鳴きと実母の死
どんな伝承か
回答者・中窪寿雄の家は山また山の僻村で、本屋から離れた広場を塵埃の焼却場にしており、いつも二羽のカラスが来て餌をあさる。昭和五十八年一月二十四日の朝、焼却を終えて戻った嫁が「今朝はカラス啼きが悪かった」と言った。間もなく、二十キロ離れた春日山の入口・石切峠の実家から、母の息が絶えたと電話が来た。実母は難病で入退院を繰り返し自宅療養中に昏睡状態に陥っていた。カラスの異常な鳴き声が死を告げた話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。