金縛りの夜に頬ずりして去ったおじ
どんな伝承か
昭和五十八年八月、浜松市のある女性が夜二階の自室で寝ていると、誰かが階段を上ってくるような足音がした。戸を開けて見たが誰もおらず、気のせいかと布団に入るとまた廊下を歩くような音がして、はっとした瞬間に金縛りにあったように体が動かなくなった。すると部屋に何者かが入って来て、肩に手を回し後ろから抱きついた。大声で叫びたくても声が出ない。その霊は頬ずりをするとさっと天井へ上ってどこかへ消えた。汗びっしょりになっていると、階下で電話を受けた母が、長野県飯田のおじさんが亡くなったと告げる声が聞こえてきた。話者は友人、回答者は下平美奈子。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。