無風の夜に雨戸で鳴った義父の知らせ
どんな伝承か
昭和五十年ごろ、埼玉県三郷市の人の体験。義父はガンの手術から三年ほどは持ち直したように見えたが、再び悪化して自宅で闘病していた。食事も通らないまま一か月ほど命をつないでおり、前日に見舞ったときは意識もはっきりしていて、ご飯は食べたかなどと声をかけてくれた。その夜は風ひとつない晩だったが、雨戸の近くで、あるいは雨戸そのものが鳴り、ドサッという音がした。近くに音を立てるような物は何もなく不思議に思っていると、翌朝、義父の死を知らせる電話が入ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。