臨終の老人が見たもやの中の大きな舟
どんな伝承か
昭和五十年ごろ、三郷市彦成での報告。知り合いの老人が病に伏していたが、意識ははっきりしていた。駆けつけた回答者が夜通し看病していると、老人は夜中に汗をにじませながら、もやもやしたものの中から、きれいな大きな舟がやって来ていると口にした。集まっていた大勢の見舞い客に伝えると、皆お迎えが来たのだろうと言い合い、死期の近いことを悟った。それから二時間ほどして老人はしゃっくりを始め、ほどなく息を引き取った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。