叔父叔母の黒い車の迎えを断った夢
どんな伝承か
昭和五十九年、二か月余りの入院を終えた筆者は、家に戻ると畑や庭の手入れに精を出した。その疲れと猛暑のせいか、体がだるく眠くてたまらない。家族に訴えてもわかってもらえず、医者もどこも悪くないとビタミン剤を出すばかりで、なぜこんな我慢をしてまで生きねばならないのかと考えるほどだった。ところが敬老の日の明け方、数年前に亡くなった叔父と叔母が黒い車を二台つらねて迎えに来る夢を見た。雨がひどいからと乗るのを断って目を覚ますと、涼しい朝風が心地よく、自分を大事にして生きようと思い直したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。