柱から柱へ渡らされたセミのいびり
どんな伝承か
名古屋歩兵第六連隊補充隊(名古屋城内)での昭和十五年四月から七月にかけての体験。上等兵になりそこねた一等兵は「古兵どの」と呼ばれ、新兵をよくいびった。新兵が何か失敗をすると「セミ」と呼ばれて柱に登らされ、「ミーミー」とセミの鳴き真似をさせられる。古兵が「セミは一箇所にとどまって鳴かないものだ、知らないのか」とからかうと、新兵は「ジー」と鳴きながら柱を滑り降り、別の柱に登ってまた鳴き続けさせられたという。
原典より
昭和二十年二月十三日に飛行予科練習生として入隊した。—— 現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸)
『現代民話考 ― 軍隊』は、松谷みよ子が編んだ、軍隊と戦争をめぐる現代の民話の集成である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きによって寄せられた話をもとに、十五年戦争を中心に徴兵検査から新兵のしごき、戦地、虐殺や飢え、敗戦、収容所、戦犯、軍隊生活の怪談までを収める。巻頭に序文「明日の民話のために」と論考「軍隊考」を置き、十三の部に分けた各話の末に話者と回答者の名と在住地を記す。