実相寺の供養で止んだ怪音
どんな伝承か
明晩からは音を立てるなと告げると二十回打ち、その後は何を問うても音がしなくなった。供養をあげる旨を告げると、草鞋を履いて廊下を歩くような音がした。二月二十八日の夜、宿直の三名は就寝したが音はない。午前一時ごろ、佐藤訓導が「今晩は来ませんぞ、昨晩の約束が約束ですもの」「明日の午後四時までの辛抱だ」と連呼した。揺り起こして聞くと、そんなことを言った覚えはないという。実は午後四時に住職を招いて供養すると校長が決めていたのであった。三月、職員が集まり夕張町実相寺の住職を招いて供養を行い、以後異状はなかった。開拓当時は殺伐な風があり、土方らが惨殺されたことがあったと古老は語ったという。
原典より
若し音なせざれば二十回打て』といへば二十……打つ。—— 幽霊は語る(梶天真・1938年(昭和13年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽霊は語る(梶天真・1938年(昭和13年))
『幽霊は語る』は、梶天真が昭和十三年に編んだ幽霊譚と幽霊論の集成である。葬送の習俗や海外の霊魂観から説く幽霊思想、幻覚や網膜の作用による幽霊の説明、乃木大将や許斐大尉の見た幽霊などの実話、古典や伝説に現れる男女の幽霊・怨霊・生霊、幽霊写真、化物屋敷、霊界通信を集める。三篇に分かれ、第二篇は幽霊を男女・怨霊・生霊・小児の見た幽霊・食物に縁ある幽霊・前知らせなど八項に分類し、巻末を夕張と筑前の幽霊問答で結ぶ。