人を吸い込む城ノ谷の底無し畑
どんな伝承か
三好郡三好町足代字井坪の城ノ谷は阿讃山脈の中腹にあたり、そこに底無し畑と呼ばれる七、八反ほどの土地がある。足を踏み入れると見る見るうちに土の中へ吸い込まれて出られなくなると恐れられ、昔から耕す人がいないという。ある人が畑の縁から竹竿を差し込んでみると、二メートルほどまではずぶずぶと入ったが、その先どこまで沈むか分からず、恐ろしくなってやめてしまった。底なしの水田の話はあっても畑では他に例がないといわれ、付近には十字の印を刻んだ平たい石が十数個あるという。
原典より
広さは七、八反もあろうかとみられるほどだがここに足を踏み込むとみるみるうちに土中に吸い込まれて出ることが出来なくなると恐れられて…—— 阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年))
『阿波の怪談』は、横山春陽が昭和三十三年に編み、徳島新聞出版部から発行した郷土の怪談集である。徳島県の各地と土佐との国境の山中に伝わる山女郎、淵や池の主、カッパ、亡霊、火の玉、タヌキやキツネ、大ジャの話を、平安朝の言い伝えから藩政期、明治・大正、昭和の出来事まで、編者が古老に聞き、書物から拾って題ごとに並べる。おわりにでカッパやヘビの話の多い地域や海の話の少なさについて記す。