わら屋根から桑畑へ落ちた赤い玉
どんな伝承か
話者が子どものころ、年は忘れたが十月六日の夜七時半ごろ、小便をしようと縁側へ出た。外は真っ暗で子ども心にこわく、外便所へ行くのも面倒だったので、縁側から庭へ放尿した。すると三十メートルほど離れた前の家のわらぶき屋根のグシの所から、提灯くらいの大きさの赤い玉が出て、ふわーりふわーりと飛び、ゆっくり西側の桑畑へ落ちた。出始めた小便も止まり、ぼう然と見ていたが、赤い玉が桑畑へ落ちきると同時に「おっかあねえー」と叫んで家の中へとびこんだ。父に話すと「それでは前の家の仙造じいさんが死ぬかな」と言い、翌々日の十月八日、仙造じいさんは亡くなった。
原典より
放尿をし始めたところ、三十メートル程離れた前の家のわらぶき屋根のグシの所から、提灯位の大きさの赤い玉がでて、ふわーりふわーりと飛んで、ゆっくり西側の桑畑へ落ちた。—— 渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ)
『渋川市誌 民俗編』は、渋川市の市誌民俗編のうち、第六章「民俗信仰」の第一節から第五節の初めまでを収めたものである。人魂・幽霊・ロクロッ首・生まれかわり・死神などの霊魂の話、手をつけてはいけない聖地や耕すと祟る忌地、オサキ使いや狐つき、神かくし、若宮八幡などのたたり、イチッコと呼ばれる巫女や祈禱師、東向き鳥居参りなどの祈願を、市内の大字ごとの聞き書きで記す。はじめにで章全体を解説し、続く節では話に見出しと採集地の大字を添える。