稲荷がのり移る初午の目隠し相撲
どんな伝承か
祖母島の字下里には、かつて橋場稲荷という、小さいながら立派な木造の祠があった。大正の末ごろまで、毎年初午の前の日になると、近所の子どもたちがこの祠に集まってこもった。初午の朝、二人がジャンケンをして、勝った子が手ぬぐいで目を隠し、負けた子が鬼になって相撲をとる。周りの子が太鼓を打ちながら羽黒の権現と十日の稲荷を唱える呪いの文句を繰り返すと、目隠しの子には稲荷様がのり移り、並外れた力で相手を倒した。あまりに暴れるので、三、四人がかりで押さえつけたという。
原典より
すると目隠しをした子どもは稲荷様がのりうつり、異常な力で相手を負かした。—— 渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ)
『渋川市誌 民俗編』は、渋川市の市誌民俗編のうち、第六章「民俗信仰」の第一節から第五節の初めまでを収めたものである。人魂・幽霊・ロクロッ首・生まれかわり・死神などの霊魂の話、手をつけてはいけない聖地や耕すと祟る忌地、オサキ使いや狐つき、神かくし、若宮八幡などのたたり、イチッコと呼ばれる巫女や祈禱師、東向き鳥居参りなどの祈願を、市内の大字ごとの聞き書きで記す。はじめにで章全体を解説し、続く節では話に見出しと採集地の大字を添える。