井戸へ呼んで蘇った兵七さん
どんな伝承か
前田に住む兵七さんという人が、ある夏の日に田んぼの畦道でハチに刺され、気を失って倒れた。まわりの人たちが名を呼んで揺り起こそうとしても、なかなか正気に戻らない。そのとき年寄りのひとりが、井戸へ行って呼べばよいと教えた。人々が井戸まで行き、井戸に向かって兵七さんの名を大声で呼んだところ、兵七さんは息を吹き返して助かったという。盆と正月の十六日に井戸をのぞくと地獄が見えるといわれ、気を失った兵七さんは地獄の入口まで行っていたのを、井戸越しに呼び戻されたのだと説かれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当))
『狭山市史 民俗編』は、狭山市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその「五 伝説・昔話・世間話」の部分が収められている。堀兼・入間・奥富・柏原・水富・入間川の各地区で古老の座談会と個別の聞き取りによって集めた話を、話者の地区・名・生年を添えて載せ、不老川や堀兼の井、影隠地蔵、キツネ、豪商綿貫家の話などを含む。伝説は水・動物・植物・地名・人物・塚・神仏・地蔵・妖怪変化など十項に分け、話ごとに[解説]を付す。