松保丸の見せかけ自沈
どんな伝承か
松保丸は、琉球王が島津藩へ納める金銀財宝を積んで慶応三年八月に沖縄を出帆し、鹿児島へ向かう途中で嵐にあい、十月十七日に七島灘の中の島沖で沈んだと届け出られていた。届書に添えた目録には、万両入りの箱をはじめ莫大な財宝が並んでいたが、昭和十五年の引揚げでは僅かな丁金や銭しか揚がらなかった。実は、島津藩の重い取り立てに苦しんだ琉球王の政府が、見せかけの貢物を積んだ船を航海の途中でわざと沈め、海難として届け出て責めを逃れようとしたのだという。鹿児島県の警察部が沖縄へ人を送って調べると、乗組員の大半は生きて帰っており、陰謀は事実だったと多くの人が語ったという。
原典より
島津藩の苛酷な賦課に苦しんでいた琉球王の政府は、窮余の策として、見せかけの貢納物を積んだ松保丸を、航海途中で自沈させ、それを海難として届けでて責を免れようとしたのであった。—— 第四の世界―心霊現象のなぞをとく(田中千代松・1960年(昭和35年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
第四の世界―心霊現象のなぞをとく(田中千代松・1960年(昭和35年))
『第四の世界―心霊現象のなぞをとく』は、田中千代松が一九六〇年に著した心霊現象の解説書である。予言・千里眼・霊聴・霊言・自動書記・サイコメトリーなどの霊能から、幽霊の体験記、物質化した霊像、叩音、物体移動、心霊写真、ルルドの奇蹟、起訴された霊媒、デューク大学の超心理学までを、日本と欧米の事例を交えて扱う。東京大学教授後藤以紀の推薦文とまえおきに続く十六章で構成し、むすびで心霊研究のあり方を論じる。