仏よせ・くどき・仏おくりの作法
どんな伝承か
恐山の祭礼に稼ぎにやって来たイタコの前には大勢の人が寄り、はやるイタコの前にはなおさら人が集まる。誰かがこれこれの日に死んだ仏を降ろしてくれと頼み、その仏が女であった場合は「花か、そうではないか」と聞く。花とは未婚女性を意味する符牒だという。頼まれたイタコは祝詞と経が混じったような「仏よせ」を独特の節をつけて唱えるが、祭礼のときははしょって短くやる。それがすむと「くどき」、すなわち霊言現象が始まる。会えてうれしいとかきくどくのだが一定の型にはまった表現で、それでも依頼者はたいてい涙を流して聞いている。くどきが終わると「仏おくり」が唱えられ、料金は平常百円、祭礼相場では二百円であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
第四の世界―心霊現象のなぞをとく(田中千代松・1960年(昭和35年))
『第四の世界―心霊現象のなぞをとく』は、田中千代松が一九六〇年に著した心霊現象の解説書である。予言・千里眼・霊聴・霊言・自動書記・サイコメトリーなどの霊能から、幽霊の体験記、物質化した霊像、叩音、物体移動、心霊写真、ルルドの奇蹟、起訴された霊媒、デューク大学の超心理学までを、日本と欧米の事例を交えて扱う。東京大学教授後藤以紀の推薦文とまえおきに続く十六章で構成し、むすびで心霊研究のあり方を論じる。