石井ふゆの財布当て
どんな伝承か
浅野和三郎は東大で英文学を修め、海軍機関学校の語学教授を務めていたが、ある霊能者の霊視をきっかけに心霊研究へ深入りした。横須賀在住の頃、幼い三男三郎が原因不明の微熱の続く病にかかる。妻が内密に近くの女行者石井ふゆへ祈禱を頼んでいたと打ち明けた。石井は三郎の気管支の傷を透視し、十一月四日には治ると予告したという。半信半疑の浅野は石井を訪ね、読経する信者の中で財布の中の金額を当てさせると一銭の狂いもなかった。約束の十一月四日、体温は三十六度五分を越えず、三郎はその日を境に健康を取り戻した。この体験が浅野を霊魂研究へ向かわせたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
第四の世界―心霊現象のなぞをとく(田中千代松・1960年(昭和35年))
『第四の世界―心霊現象のなぞをとく』は、田中千代松が一九六〇年に著した心霊現象の解説書である。予言・千里眼・霊聴・霊言・自動書記・サイコメトリーなどの霊能から、幽霊の体験記、物質化した霊像、叩音、物体移動、心霊写真、ルルドの奇蹟、起訴された霊媒、デューク大学の超心理学までを、日本と欧米の事例を交えて扱う。東京大学教授後藤以紀の推薦文とまえおきに続く十六章で構成し、むすびで心霊研究のあり方を論じる。