葛城山の頂で仙人に出会った武士
どんな伝承か
豊後杵築藩の武士だった河野久は、仙道の行に打ち込み、明治八年八月、大和の葛城山へ登って頂に行場を構えた。二日目の夕暮れ、水を探して山を下ると、三十そこそこに見える気品のある男に出会う。長い黒髪を後ろで束ね、紋付の羽織袴に二尺ほどの刀を差していた。男は湧き水の在り処を教えたうえ、前夜に鹿を六頭見たという河野に、あれは親二頭と子三頭の五頭だと言い当てた。道を乞うと男は自分の棲処へ誘い、常人離れした速さで走る。河野は途中で気を失い、霊薬で息を吹き返して岩窟にたどり着いた。そこは吉野山の奥で、男は応永元年生まれの元神主だと名乗ったという。
原典より
F ある写本からG 秋山参謀の霊夢H 沖の叫び声魔法(マジック、ウィッチクラフト)や魔術師(マジシャン)という言葉の意味する内容は時代とともに変遷し、現代においては概念内容がかなり不透明になっている。—— 霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究文庫III・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究文庫III・1978年(昭和53年))
『霊の世界――小品集』は、田中千代松が新聞・雑誌に寄せた心霊研究の随筆や小論に手を加えて集めた心霊研究文庫の第三冊で、はしがきは一九七八年十一月の日付である。SPRの成り立ちや催眠術・超心理学の来歴、クルックスやフラマリオンを論じる文章のほか、土井晩翠・河上肇・福来友吉の挿話、平田篤胤が記した仙童寅吉、秋山真之の霊夢などを収める。「エッセイ種々」「群像」「ものがたり回顧」の三部に分け、多くの篇に初出の誌名と年月を添える。