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体験を忘却しようとした決意

所在地東京都豊島区巣鴨
年代明治
登場田中千代松、河上肇、心霊研究者、体験者
出典霊の世界 ― 小品集

どんな伝承か

体験の直後、河上肇は数日にわたって全身の皮膚感覚をほとんど失い、手足をつねっても痛みを覚えなかったという。田中千代松は、これを強い物理現象を起こした霊媒が覚めたあとに訴える状態に似ていると見た。悟りを得た河上は身体を自分のものと思わず、天下に捧げるべき器と考えるようになる。京都大学の講師から助教授、留学を経て教授となり、経済思想の研究を重ねるうちにマルクス主義へ移っていった。そして科学の世界では宗教と縁を切ろうと決意するのだが、それは否定ではなく、しばらく忘れておこうという決意にとどまった。体験が幻覚でも夢想でもない事実だったために、否定のしようがなかったのだと田中は読む。

原典より

彼はその体験の与えた悟得によつて、その後の生活にまことに身の軽きを覚えた。—— 霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究文庫III・1978年(昭和53年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究文庫III・1978年(昭和53年))

『霊の世界――小品集』は、田中千代松が心霊研究について新聞・雑誌に書いた随筆や小論を集め、一九七八年に心霊研究文庫の第三冊としてまとめた本である。心霊研究協会(SPR)の成り立ちや催眠術・超心理学の来歴、クルックスやフラマリオンらの研究を論じる文章のほか、土井晩翠や福来博士の心霊体験、平田篤胤が記した仙童寅吉、秋山真之の霊夢などの話を収める。「エッセイ種々」「群像」「ものがたり回顧」の三部に分け、各篇に初出誌を記す。

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