聖労院で見つかった半陰陽の少年
どんな伝承か
十七日午後二時、東京高田警察署では市外高田町雑司ヶ谷の聖労院に志賀警察医を派遣し、同院に収容されている病患者を検診したが、その際、脚気患者の松本茂(仮名・十七歳)という少年が、はからずも男女両性を完全に備えていることが発見された。警察側は取締上の関係から、従来通り男子部に収容することもできず、女子部へ回すのも変だとして、聖労院と協議のうえ十七日夜から院内の「慰めの家」に収容することにした。松本は九月二十三日に浅草公園のルンペン仲間にいたのを同僚四十名と共に象潟署から送られてきた者で、戸籍面は「松本茂子」、浅草の千束小学校に女生徒として通い五年を終了していた。
原典より
それが、学校を出る頃から、肉体に変調を来たし、男性的な力強い衝動がムラムラと頭をもたげてくるのを感じるようになり、それから男子の生活を始めた。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。