1:首なき武士の怪異
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どんな伝承か
板橋在の豪農が雨戸越しに賊を刺し殺した、その夜から怪異が始まった。ちょうどその武士を突き刺した時刻、八ツ下り頃になると、閉め切った奥座敷にともした行灯の灯が、風もないのにふうっふうっと息をつくようにまたたき、すうっと消えかけてはまた燃え上がる。同時に、その雨戸のあたりでぱたりという怪しい物音がするのであった。気丈な主人は「狸のいたずらだぞ」と言って気にも止めぬ風であったが、その奇怪な灯のまたたきと怪しい物音は、その年桜の咲く頃まで続いたという。筆者が少年時代、板橋在から来る植木屋の老人から親しく聞いた話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件
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