死んだ赤ん坊の部屋で泣く幼女
どんな伝承か
漫画家の古賀新一が語った話である。七年前、板橋区に住んでいたころ、アパートの隣は鳶職人の夫婦だった。亭主は大酒飲みで夫婦喧嘩が絶えず、大声で泣く赤ん坊に、お前が死ねばよいと怒鳴りつけるほどだった。やがてその赤ん坊は風邪がもとで死んでしまう。次にその部屋へ入った理容師夫婦の二歳の女の子が、夜中にうなされて泣き叫ぶようになった。そこで古賀が鳶職人夫婦のいきさつを話し、部屋を清めて赤ん坊を供養したところ、その夜からぴたりと泣かずに眠るようになったという。
原典より
七年前、板橋区に住んでいたとき、アパートのとなりが鳶職人の夫婦。—— お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けについてのマジメな話』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した幽霊とお化けをめぐる随筆である。自ら主宰する「お化けを守る会」に寄せられた体験談や、大阪の毎日放送のラジオ番組で聴取者が電話で語った話を軸に、前世や霊媒・降霊実験など海外の心霊研究、井上円了の妖怪論、古い記録に見える犬神などの憑きものを取りあげる。体験談から死後の世界、お化けを呼ぶ方法、昔のお化けへと進む八章立てで、巻末にあとがきを置く。