鬼神を使い伊豆へ流された役小角
どんな伝承か
文武天皇の三年五月、朝廷は人々を妖しく惑わした罪で役君小角を捕らえ、伊豆の島へ流した。『続日本紀』は、葛城山に住む小角が鬼神を使って水を汲ませ薪を採らせ、従わなければ呪で縛ったと伝える。『日本霊異記』では、小角は大和国葛城郡茅原村の生まれで、四十を過ぎて葛城山に籠もり、葛の衣をまとい松脂を食べて修行を重ねた。鬼神に金峯山から葛城山まで橋を架けよと命じたところ、困った鬼神が、小角が天位を傾けようとしていると帝に訴え、母を人質に取られた小角は自ら縄についた。伊豆大島に流されても夜は富士山頂へ飛んで修行し、ついには仙人となって天へ昇ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪(早川純夫・早川純夫・妖怪史・1973年(昭和48年))
『日本の妖怪』は、早川純夫が一九七三年(昭和四十八年)に著した妖怪史の読み物である。『出雲風土記』『日本書紀』から『日本霊異記』『今昔物語』、江戸の『新著聞集』などの随筆までの古典に記された妖異を、かかわりのある実在の人物や事件とともに古代から近世へ時代順にたどる。全八章で、引用は意訳を交えて『』でくくり、仏教談や霊験談、地方の民話はおおむね除き、第七章には江戸の見聞録から選んだ二十話を並べる。