榊に神器を掛けて帰順した神夏磯姫
どんな伝承か
『日本書紀』によれば、景行天皇十二年、天皇自ら筑紫方面へ行幸し、周芳国娑麼、現在の山口県防府市に到着した。南の方を見ると煙が多く立ちのぼっていたため、賊がいるのではと使者を遣わした。この地方には神夏磯姫という女王がおり、使者が来ると知ると磯津山の榊を採り、上の枝に剣、中の枝に鏡、下の枝に八尺瓊の曲玉をかけ、白旗を掲げて帰順を申し出た。その際、なお従わない鼻垂・耳垂・麻呂ら四名を討ってほしいと願い出て、使者の武諸木は彼らをだまし討ちにしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪(早川純夫・早川純夫・妖怪史・1973年(昭和48年))
『日本の妖怪』は、早川純夫が一九七三年(昭和四十八年)に著した妖怪史の読み物である。『出雲風土記』『日本書紀』から『日本霊異記』『今昔物語』、江戸の『新著聞集』などの随筆までの古典に記された妖異を、かかわりのある実在の人物や事件とともに古代から近世へ時代順にたどる。全八章で、引用は意訳を交えて『』でくくり、仏教談や霊験談、地方の民話はおおむね除き、第七章には江戸の見聞録から選んだ二十話を並べる。