見た者が死ぬ天目山の白旗
どんな伝承か
甲斐の天目山では、毎年三月三日になると山に白旗が見えるといわれる。この白旗を見た者はその年のうちに死ぬと戒められている。天目山は勝頼の一族が滅びた地で、白旗はその一族の霊のしわざとされる。著者はこれを、秋田の姫神山の榎に毎年白旗が立ち、見た者は三年のうちに死ぬという言い伝えと同じ型の話として挙げ、何百年も昔に死んだ者たちがこうしたいたずらで今の人間とのつながりを断たずにいるのが面白いと述べている。
原典より
三月の三日には天目山に白旗が見える。それを見た者はその年の中に死ぬと戒められてある。—— 民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
民俗怪異篇(磯清・磯清・民俗怪異)
『民俗怪異篇』は、磯清が著した民間の怪異をめぐる随筆集である。馬を襲う魔物ギバとその禁厭、阿波の首切れ馬「夜行さん」、姫路城の刑部姫や猪苗代城の亀姫などの城の怪、化け猫、灯火による占い、秩父三峰の狼の信仰と狼の怪、怪談を題材とする落語を取りあげ、各地の言い伝えや古い記録を引きながら語る。序に続いて「馬の災と馬の怪」「城の主」「猫」「灯の占」「狼の噂」「落語に存在する怪談」の六篇を置き、それぞれを小見出しの短い話に分ける。