勝頼の霊が呼ぶ新府城祭典の風雨
どんな伝承か
新暦四月二十日に新府の藤武神社で祭典が行われるが、この日は昔から大風か雨になるといわれ、落城を今も嘆く勝頼の霊のしわざだと伝わる。『裏見寒話』も、城跡へ行くとにわかに雨が降るという近ごろの噂を記す。筆者自身も二度この地を訪れ、晴れていたのに城跡の山上から細かな雨と南風が起こったり、麓から雨に遭ったりしており、新府へ行く者の七、八割は風雨に遭うと述べる。勝頼の霊の怒りとも、山上の大蛇が人声に驚いて風雨を起こすともいうが、筆者は駒ヶ岳や八ヶ岳などの大山に近いための私雨のたぐいかと推し量っている。
原典より
新暦四月二十日に新府藤武神社の祭典が行なわれるが、昔からこの日は大風か雨になるといわれる。—— 韮崎市の民話伝説(韮崎市教育委員会・1967年(昭和42年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
韮崎市の民話伝説(韮崎市教育委員会・1967年(昭和42年))
『韮崎市の民話伝説』は、韮崎市教育委員会が昭和四十二年に発行した民話・伝説集である。韮崎・円野・中田・穴山・藤井・神山・穂坂・清哲・旭・大草・竜岡の十一町で民俗資料調査員が集めた百六十八話を収め、武田信玄・勝頼や鎮西八郎為朝、弘法大師の話、山の神のたたりや化かされた話などに話者名や『裏見寒話』などの出典を添える。巻頭に昔話と伝説の解説を置き、本文を木・石・水・塚・坂峠・山・谷沢・屋敷跡城址・祠堂・その他の十部に分ける。