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冥途の橋で鬼に追い返された定衛門

所在地茨城県水戸市
年代江戸
登場樫衛門、白石意隆、心霊研究者、定衛門と同じ刻に死んだ奉公人、定衛門の甥・話を伝えた著者の父(家父)
出典霊の世界 ― 小品集

どんな伝承か

『家庭旧門』の著者の父白石意隆にとって母方の叔父にあたる小平定衛門は、若いころ流行り病で脈が絶え、医者たちも見放して帰ってしまった。ただ一人残った六十過ぎの町医が、腹にまだ温みがあるから耳もとで名を呼び続けよと教え、半時ほど呼ぶうちに息を吹き返した。定衛門によれば、気を失うと朧月夜のような芝原に出て、同役の男と、定衛門らが江戸へも連れて行った半期奉公の出入りの男樫衛門に出会い、三人で大河沿いの道を進むと、大橋のたもとで鉄棒を持つ二人の鬼に止められた。二人は通されたが自分だけはまだ定業でないと戻され、野原で待つうちに名を呼ぶ声が聞こえて目が覚めたという。同役と樫衛門は、彼が気絶したのと同じ日の同じ刻に亡くなっていた。

原典より

然るに同役と樫衛門は定衛門気絶の同日同刻に死去せしとかや。—— 霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究文庫III・1978年(昭和53年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究文庫III・1978年(昭和53年))

『霊の世界――小品集』は、田中千代松が新聞・雑誌に寄せた心霊研究の随筆や小論に手を加えて集めた心霊研究文庫の第三冊で、はしがきは一九七八年十一月の日付である。SPRの成り立ちや催眠術・超心理学の来歴、クルックスやフラマリオンを論じる文章のほか、土井晩翠・河上肇・福来友吉の挿話、平田篤胤が記した仙童寅吉、秋山真之の霊夢などを収める。「エッセイ種々」「群像」「ものがたり回顧」の三部に分け、多くの篇に初出の誌名と年月を添える。

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