教場の天井に浮かんだ手足六本の妖怪の姿
どんな伝承か
天井に怪物が現れたという騒ぎもよく起こる。先年、水戸市の上市小学校で、教室の天井の白壁に、手が六本、足が六本ある妖怪の姿が黒々と浮かび出ているのを子供たちが見つけ、化け物騒ぎになった。著者は、左官が壁を塗ったとき、たまたま手足の跡のような汚れを天井に残したものだろうとみている。経験の乏しさから、ありふれたことを妖怪のせいにしてしまう例の一つとして挙げられている。
原典より
先年、水戸市上市小学校教場の天井の白壁に、手六本足六本ある妖怪の姿が黒々と現出しているのを児童らが認め、化物沙汰となったことがある。—— 迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年))
『迷信の諸相・宗教の真相』は、井上円了が大正五年に刊行した『迷信と宗教』を、新しい題を付け現代の表記に改めて翻刻した本である。琉球・伊豆七島・壱岐対馬から北海道まで、著者が各地を巡回して見聞した犬神・人狐・河童・狐憑きなどの迷信と、怪火・天狗・幽霊・鬼門・卜筮・家相・禁厭など全国共通の迷信を挙げる。迷信の利害と原因を論じたのち宗教の真相を説き、余論に妖怪学の短編、附録に幽霊鬼神と霊魂不滅をめぐる論を収める。