寅の年月日に生まれた莨商の子・寅吉
どんな伝承か
篤胤らが調べたところによれば、寅吉は江戸下谷七軒町で莨を商う越中屋与惣次郎の次男として、文化三年十二月晦日に生まれた。生まれた年も月も日もそろって寅にあたっていたので寅吉と名づけられたという。父は早くに世を去り、兄の庄吉が小商いをしながら母と幼い弟妹を養っていた。篤胤が自ら母と兄を訪ねて聞いたところ、この子は五、六歳のころから、まだ起きてもいないことを、今夜は帰る用ができる、明日はこういうことがあると言い当てる変わった子だった、と語ったそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
近代日本霊異実録(笠井鎮夫・霊異・神憑り実録・1966年(昭和41年))
『近代日本霊異実録』は、笠井鎮夫が著して昭和四十一年に昭森社から初版を出した、幕末から近代の神憑りと霊異の記録で、ここに収めるのは昭和四十八年に山雅房から出た複刻版である。金光教・黒住教・天理教・大本の教祖の神憑り、井上正鉄の求道、宮地常磐・堅磐父子や河野至道の神仙譚、天狗の弟子寅吉の話、長南年恵の奇跡などを、手記・写本・旧著を引いて語る。全十二録からなり、第一録には金光教に入信した著者の父の手記を収め、巻末にあとがきと著者略歴を置く。