自分のオスに敷かれた猟師円次
どんな伝承か
谷川(現・群馬県利根郡みなかみ町谷川)集落の猟師円次は、大正末から昭和のごく初め頃、集落から二キロほど遡った牛首という小地名の付近でオス(仕掛け罠)を見に行ったまま日が暮れても帰らず、村中総出の捜索の末、翌日、自分が仕掛けたオスの下敷きになって死亡しているのが発見された。地面が手で掘られ指の爪がすべてなくなっていたことから、必死に脱出しようとした様子がうかがえたという。猟師の石倉篤太郎が村の古老から聞いた話として伝えている。
原典より
「円次さんのことは聞いています」第7章「猿は猟師に命乞いをする」は本当かいまでは害獣になりさがる山中でサルの群れと遭遇するサルをあがめる人びと猿神信仰の名残りサルの哀しみ—— 村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。