宝川源流で見下ろすサルの群れ
どんな伝承か
石倉篤太郎がサルの見まわりを担当していたのは、みなかみ町藤原の藤原ダムまでで、それより上流の須田貝・奈良俣・矢木沢の三つの大型ダムの周辺は、別の猟師が受け持っていた。藤原湖のすぐ上流では、宝川が利根川に西岸から合流している。昭和五十年代の後半ごろ、著者は何回か宝川の上流へイワナ釣りに入った。ある年の夏、源流部まで詰めて川幅が三、四メートルほどになったころ、頭の上の方からだれかが自分を見下ろしているような感じがした。その日、人には一人も会っていない。著者はすぐに対岸の斜面を見上げた。
原典より
サルをあがめる人びと猿神信仰の名残りサルの哀しみ第8章 野生動物雑記カモシカは激増しているシカだらけの国道罠にかかったイノシシ人なつこいことも、あるらしい—— 村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。