阿旦の下で風雨にさらした渡名喜島の曝葬
どんな伝承か
明治から昭和前期にかけての小説家・菊池幽芳は『琉球と為朝』の中で、粟国島南方の渡名喜島(島尻郡渡名喜村)の葬制を書き留めている。この島では死者を埋葬せず阿旦の下に置いて風雨に曝し、腐敗を待った後にようやく骨を壺に収め、祖先以来の墳塋にまとめて合祭したという。そのため島では犬の飼育も禁じられていたと伝わる、曝葬(殯)の葬制の貴重な記録である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。