神流川に流れ着いた野栗権現の陰毛
どんな伝承か
『閑窓瑣談』によると、上野国甘楽郡の山中領にある新羽の神流川で、慶長のころの洪水の折、板橋に怪しい毛が流れかかった。土地の人が拾い上げてみると長さは三十三尋余り、黒く艶やかで、何の毛か見当がつかない。湯立の祈りをして尋ねると、巫女は同じ村の野栗権現が流した陰毛だと告げたので、その社へ納めた。以後、陰毛の宝物として名高く、毎年六月十五日の祭礼には、神輿のあとから箱に入れたこの毛をうやうやしく持って歩くという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。