信者ゼロの長府の人間完成共学道場
どんな伝承か
下関市の長府町印内の電車通りにある急行貨物取扱所に、人間完成共学道場という看板が掛かっていた。その主で大神様と呼ばれる六十八歳の男は、三十年前から自分の教えこそ世界平和の近道だと説いてきたが、信者はひとりも現れないという。新九州新聞の記者が訪ねると、宇宙を科学的に割り切ったと言いながら中身は語らず、世界中の人間はなっちょらんと身ぶりを交えてまくしたてた。運送賃の集金と妻の商いで暮らしは苦しく、柱には水着の美女の写真が貼ってあった。著者は、現世の利益を説かない教えに信者は寄りつかない例として紹介している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。