長大な幟が舞う奇祭数方庭
どんな伝承か
忌宮神社の数方庭は、毎年八月七日から十三日まで夜ごと行われる奇祭である。長府と近隣の家々が、先端に鳥の毛を挿し、家紋入りの小旗や鈴、大幟を付けた長い竹竿を持ち寄り、境内の石のまわりを鉦や太鼓に合わせて何度も回る。大きな幟は全長二十メートル、重さ八十キロを超え、一人が腰の編み紐に竿の根元を掛けて支え、周りの介添え役が倒れぬよう見守る。一晩に四回、七日間で二十八番が奉納される。数方庭の名は竿の先に鳥形を付ける朝鮮の村祭りソッテに由来するという説があり、長府と牛窓がともに朝鮮通信使の滞在地だったことも指摘されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。