初七日の夕霧に現れた隣人
どんな伝承か
作家の丘道治氏は二年ほど前、下関からバスで一時間ほどの山口県豊浦郡の村に住んでいた。上京先から久しぶりに帰村し、夕霧の立ちこめる家路を歩いていると、隣人の農夫Bさんが現れ、二人は肩を並べて世間話をしながら門口まで歩いた。帰宅後その話をすると、Bさんは一週間前に亡くなっていたと知らされ、その日はBさんの初七日だった。翌朝訪ねると、丘氏が会ったのはすでに位牌になっていたBさんだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。