長瀞に集まった関東光頭大会
どんな伝承か
昭和六年の春、秩父の長瀞で関東光頭大会という前代未聞の催しが開かれた。五日の朝、紅白の幕と桜で飾った長瀞駅に、禿げ頭を誇る男たち百五十人が続々と降り立ち、赤い陣羽織に禿げのかつらをかぶった一行も繰り込んだ。十一時に行進を始めた一団は宝登山神社に詣で、ますます禿げるようにと祈ったが、そのころから雨が降り出して散り散りになった。午後は十余艘の船で荒川の渓流を下って見物人と掛け合い、松林で運動会を開き、八百善の主人が考えた光頭料理で宴を張った。事前には女性の参加申し込みまであったと報じられている。
原典より
昭和六年の春はハゲ頭から・・・・・・ほがらかにもユーモラスな、関東光頭大会という奇想天外の催しが、勝景の地秩父長瀞で挙行された。平和を寿ほぐハゲ・オンパレード、のどかにも治まる御代の春ではあった。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。