乳の出を授ける梅ヶ枝の井戸
どんな伝承か
野上駅から東へ向かい、荒川に架かる高砂橋を渡って進むと法善寺があり、そのそばに梅ヶ枝の井戸がある。このあたりの地名である井戸も、この井戸に由来すると伝える。名は井戸の上に梅の老木が茂ることによるもので、秩父名八ヶ所のひとつに数えられる名水であり、古い歌にも詠まれている。新編武蔵風土記稿には、径四尺ほど、水底まで一丈余りの石積みの井戸と記される。昔、産後三か月目から乳が止まり、赤子がやせ細って困った母親が、この井戸に祈って水を飲むと、その日の夕方から乳が出始めたという。今もよその町村から祈願に来る人が多いという。
原典より
野上駅で下車して東に向うとやがて荒川にかけられた高砂橋に出合います。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。