山犬が山火事を消した宝登山神社
どんな伝承か
秩父盆地の北にある長瀞の宝登山神社でも、神の使いは狼である。社伝によれば、日本武尊が宝登山に分け入ったとき、賊の放った火が山火事となって尊が巻き込まれそうになった。すると北西の方角から多くの山犬が現れ、燃える火の上を転げ回って火を消し止め、尊を救うとふっと姿を消した。尊は山頂に神籬を立てて遠く大和の畝傍山陵を遥拝し、火防の守り神として火産霊命も祀ったため、この山を火止山とも呼ぶという。この神社の眷属もまた火防の神として信仰を集め、日本武尊を合祀したのは欽明天皇の代とされる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。