山犬が火を消した宝登山
どんな伝承か
日本武尊が宝登山へ登ったとき、賊が山に火を放った。尊が危うくなったところへ戌亥の方角から山犬の群れが現れ、猛火を消し止めると、そのまま姿を消したという。尊は山頂に神籬を立てて遠く大和の畝傍山を拝み、火除けの守り神として火産霊命をまつった。火を止めた山だから火止山と呼ぶのだと伝える。宝登山神社の眷属である狼も、火伏せの神として信仰を集めてきた。本殿の玉垣の内にある浅い井戸は、火難をのがれた尊が身を清めた跡だといわれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。