債券を倍にすると説いた穴守様
どんな伝承か
東京市の落合で葡萄酒を造っている家に、祈祷師らしい男が現れた。男は穴守稲荷の神託だと称し、手持ちの債券を三週間供えれば倍にしてやると持ちかける。その言葉を信じた主婦は、勧業債券をはじめ相当な額を男に預けてしまった。男はそのまま姿を消し、翌年になって詐欺の罪で捕らえられる。取り調べに対して男は、婦人の迷信と金への欲を釣るのはたやすいことだとうそぶいていたという。神の名を借りて財産を巻き上げる手口の典型として記録されている。
原典より
* 天理教被害報告書* 祭壇の前に危かつた貞操* 裸にされた部落(天×教)* 恨みの宝生箱(ひ××みち)* 普請小屋を毀つた老婆* 狂信から事業不振と病死七、一家没落を来たしたもの* 悪夢に憑かれた人達(天×教)* 一家…—— 邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
邪教に迷はされた人々(好村春基・浅野研真ほか編・新興宗教・邪教批判)
『邪教に迷はされた人々』は、新興宗教や祈祷・迷信に惑わされて被害を受けた人々の実話を集めた本である。ひとのみち・天理教・大本教などに絡んで、病人が医者から遠ざけられて死んだ話、精神を病んだ話、教主や行者から暴行を受けた話、家庭や財産を失った話を、遺族や民生委員の手記、『大法輪』昭和十一年の誌上報告などから収める。被害を医療妨害・精神障碍・人命・暴行危害・家庭破壊・物質的損害・一家没落・其の他の八類に分けて並べる。