色街の路地に現れた姉の幻と映像テレパシー
どんな伝承か
大正八年十月なかば、鹿児島の大門口町という色街に住む浜田文子は、翌年から学校へ上がるころで、その日の三時ごろ家の前でひとり佇んでいた。そこへ十人ほどの小学生が先生に引率されて通りかかり、行列のなかに姉サワ子の姿を見つけて思わず叫んだ。姉は二年前に父が死んだとき、汽車で一時間ほどの加治木の叔母に引き取られ、盆と正月しか帰ってこないはずであった。姉は振り向きもせず黙って歩き去った。母は夢のようなことを言うなと取り合わなかったが、夜九時ごろ叔父の店の店員平吉が帰り、三時ごろ店の前をサワちゃんが先生に連れられ、店の方を振り返りながら通ったと告げた。母は顔色を変えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の四次元(鈴江淳也・心霊・四次元・1973年(昭和48年))
『日本の四次元』は、鈴江淳也が昭和四十八年に著した超常現象の取材記である。幽霊の出る家や競馬場、古武士の怨念、守護霊、心霊写真、新幹線の四次元地帯、心霊治療、物品引き寄せ、てのひら療法、比婆山の怪獣やツチノコ、死後も占う易者犬などを、当事者を訪ねて聞いた話として記す。「幽霊と怨念の世界」から「動植物の驚異」まで六部に分け、あとがきで大陸書房刊『日本の奇談』『現代の怪奇』に続く第三弾と述べ、問い合わせ先を挙げる。