古座川の三尾川に群発する牟婁病
どんな伝承か
奇病「牟婁病」は筋萎縮性側索硬化症とその類似疾患を総合した疾患で、手足の筋が自由を失って次第に麻痺し、最後は発語も摂食もできなくなる。名は和歌山県の東西牟婁郡からとられ、いまは古座川流域の中ほどにある三尾川地区に群がって発生していた。和歌山医大の木村潔教授らは昭和三十五年から現地に掘立て小屋の診療所を建て毎月医療班を送り込み、住民四千五百九十二人のうち十八人程度が罹患し、過去二十年で二十四人が死亡していることを突き止めた。飲料水のカルシウム・マグネシウム欠乏と茶粥中心の慢性栄養失調が背景にあるとされた。
原典より
かつては、いろいろな地方に出ていたらいいらしいが、今では古座川流域の中ほどにある三尾川地区に群がって発生しているのである。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。