腹からバケツ八杯の水が出た彦根の名物女
どんな伝承か
大正十年七月、彦根大工町の菓子商中村つる(三六)は二年前から腹部が膨れ始め、大阪大学病院で卵巣の病と診断されたが治療の暇なく放置した。今年に入り激痛を覚え彦根病院に入院、京都大学の医師も交えて治療したが手遅れで、同月七日心臓衰弱で死亡した。遺言により解剖すると腹中から水がバケツ八杯も出て腹囲は百七十センチに達し、当時の世界記録百六十センチを破る新記録となった。
原典より
死体は、本人の遺言によって、解剖に附したが、病名は卵巣嚢腫病で、腹中から、水がバケツに八杯も出たということである。—— 日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。